中学校 理科 3年 【日本一酸性が強い湯の温泉 読み物 (p.152)】

秋田県仙北市にある玉川温泉は,強い酸性の湯で有名です。
毎分9000Lものわき出し量は日本の温泉の中でもトップクラスで,温泉がわき出るところの温泉水(源泉)は,水素イオン濃度がレモン果汁の10倍で,なめると市販のレモン果汁の濃縮液以上のすっぱさです。
「日本一」といわれる源泉の酸性の強さは, pHで表すと1.2くらいです。pHは中性が7で,0に近いほど酸性が強いことを思い出しましょう。かなりの酸性であるとわかります。玉川温泉の源泉のpHと同じくらい酸性が強く,身近にあるものといえば胃液で,塩酸を主成分とする点でも似ています。
酸性であるだけでなく98℃もの高温なので,もちろんお湯のわき出るところでは入浴はできません。入浴施設では,真水で50%などにうすめて酸性を弱めていますが,源泉100%をうたっている施設もあります。肌への刺激はかなり強く,痛みを感じるほどです。しかし,いろいろな病気の症状を癒やす効果があると古く江戸時代からいわれ,「湯治」(温泉で治療すること)の場として親しまれてきました。
その一方,あまりに強い酸性なので,この湯が流れ込んだ玉川の水は酸性が強く,付近の田畑を枯らす水として恐れられた時代もありました。現在では,石灰石を使って中和する施設がつくられ,玉川の水はほぼ中性に保たれています。


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